さて。
僕はこのオーダーをどう書こう。
未だ整頓せぬまま、書き出しました。
ひとまず、ただただ想いのまま、書き連ねてみます。
まずは事象を。
数年前、Huddleの3Fをギャラリーとして貸し出していたころ。
クリスマスのリース展をして頂いた方がおられます。
自然を、モノを、ヒトを、笑顔を、本当に愛されている方。
まるでこちらが不純であるかのような錯覚になってしまうくらい、真っ直ぐな表現をされる方です。
それでまた、リースが、カッコイイ。
僕たち夫妻も本当に好きで、Huddleのクリスマスリースは毎年使わせて頂いております。
そんな繋がりから、イラストを描かれております娘さんも3Fのギャラリーをお使い頂けたり、近くに来られた際にご来店頂いたり。
そして、そこにはお母様のリースの展示、娘さんのイラストの展示に足を運んで頂いておりました、お父様がおられました。
『このヒトは、モノづくりのヒトだ。』
端くれでも、モノを作っている僕から解る、直感、無言の共通言語。
『そして加えて、頭脳のヒトだ。』
頭脳を使わない僕だから感じる、独特の劣等感と羨望。
”表現者一家”。
これが、僕の勝手に思い描いていたイメージでした。
昨年の大丸神戸店でのイベント、娘さんが足を運んで頂きました。
「父が、亡くなりました。」
「母が、大変落ち込んでいます。何か、元気付けてあげたい。」
と、言葉を絞り出した娘さん。
(何か、してあげたい。)と思う僕。
僕たちなりの少ない経験から出た答え。
それは、これからひとつ、楽しみを増やしてもらいたいという事。
ブローチ(右下)には、自然・動物・ヒト。
枝に宿る鳥、落ちる雫。
実を刈り取り、ワインにするヒト。
鉛筆にするヒト。
まっすぐに、ただまっすぐに、繋がるサイクル。
テーマもさることながら、当然、造形として美しいブローチを心掛けて作りました。
あくまで、装飾品。
着けて頂いて、様になることを目指しました。
そしてプレート(左下)には、お父様が学生時代にお勉強されておりましたノートより抜粋した、図形・文字を組み合わせました。
手書きの文字は、方程式や元素記号などから抜き取り、お二人の名前に並べ替えております。
プレート上部の車のイラストは、イラストレーターの娘さんが記したもの。
本が大好きなお二人との事でしたので、並べると見開いた本の形に。
普段お出かけの際には、右側のブローチを着用頂き、帰ったらこのように収まるしております。
クッション替わりに、花壇のようなオブジェも添えました。
僕たちは、あくまでアクセサリー屋です。
装飾品を作る団体です。
ただしそれを生業とする、エンターテイナーであるべきなのです。
このような事は何度か書いておりますが。
悲しみを消す事はできませんが、楽しみをひとつ、増やすことはできます。
この大事な核心を、改めて強く思わせて頂いたこのオーダー、本当に嬉しく思っております。
また、変われる。
また、戻れる。
よしっ、ひとまず進も!